法律相談Q&A
離婚について
Q1. 離婚する前にしておくことはありますか?
A1.
離婚後も婚姻時と同等の生活を維持するために、いわゆる「取り決め」と呼ばれる離婚の条件を決めておく必要があります。特に、未成年の子に関して父母が協力して養育費や面会交流を決めておくことは子の福祉のために重要です。もちろん、離婚後も「取り決め」をすることはできますし、事情が変われば「取り決め」の変更も考えられます。ですが、お互いに「取り決め」について合意が成立しているのであれば、すぐ書面に残しておくことが望ましいです。また、強制力を持たせるために公証役場で「離婚給付等契約公正証書」を作成することをお勧めします。
Q2. 離婚調停って何するのですか?
A2.
一般的には「離婚調停」、正しくは「夫婦関係調整調停」と言います。夫婦関係調整調停では、任意に離婚(協議離婚)ができなかった場合に、家庭裁判所において、調停委員会(調停委員と裁判官)の進行の下、当事者が一定の合意に達することを目標として将来について話し合います。具体的には、離婚するかしないか、親権、面会交流、養育費、財産分与、慰藉料、年金分割について決めていきます。また、別居している場合の婚姻費用(生活費、出産費、医療費、養育費、教育費、相当の交際費)については別途申立てが必要です。
Q3. 離婚調停ができない時はどうすればいいですか?
A3.
当事者間でほぼ意見が一致しているにもかかわらず、合意が成立しない場合、「審判離婚」と言って、家庭裁判所が離婚を決定することがありますが、異議申し立てにより効力を失います。また、話し合いがまとまらない場合、「裁判離婚」と言って、家庭裁判所に離婚訴訟を提起することによって、和解または判決による最終的な解決を得ることができます。
Q4. 「取り決め」をしたけれど相手が払ってくれない時はどうすればいいですか?
A4.
調停や裁判、公正証書で「取り決め」をした場合、差押などの強制執行が可能です。もっとも、差押の時に相手に収入や財産がない場合、効果が得られないこともあります。仮に、相手が破産申立をした場合、離婚給付(財産分与と慰藉料)については免責(免除)されますが、養育費については免責されません。なぜなら、親は未成年の子に対して扶養義務を果たす必要があるからです。
Q5. 「取り決め」をしたけれど相手が面会交流に協力してくれない時はどうすればいいですか?
A5.
子と同居していない親が、子と会ったり電話をしたり手紙やメールのやり取りをしたりすることを「面会交流」と言います。そして、調停や裁判、公正証書で面会交流の「取り決め」をした場合、間接強制という強制執行が可能です。また、父母のみで実現が難しい場合は、第三者機関による面会交流支援を受けることも考えられます。もちろん、DVや連去りなど子の福祉を害するような場合は、面会交流を差し控えるべきです。
Q6. 養育費について、給料を差し押さえたのに会社が払ってくれない時はどうすればいいですか?
A6.
本来であれば、給料を差し押さえた場合、直接会社から差押部分の支払いを受けることができます。しかし、会社の中には差押部分まで社員に支払ってしまう会社もあり、そのような場合は「取立訴訟」により請求することが可能です。勝訴すれば会社の財産を差し押さえできます。
Q7. 離婚すると名字はどうなりますか?
A7.
婚姻によって名字を変えた人は、離婚によって婚姻前の名字に戻るのが原則です。
しかし、離婚後も婚姻時の名字を使用する場合は、別途市区町村役場に「離婚の際に称していた氏を称する届」の届出が必要です。
また、両親が離婚しても、連動して子どもの名字が変わることはありません。
離婚によって子どもの名字も変える場合は、家庭裁判所に「子の氏の変更許可の申立て」をする必要があります。
Q8. 離婚後に生まれた子どもは前の夫と実の父のどちらの戸籍に入りますか?
A8.
民法上、離婚届後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定されることから、前の夫の戸籍に入ります。ですが、離婚後に懐胎したことを証明する医師の「懐胎時期に関する証明書」があれば、実父の戸籍に入ることができます。また、嫡出否認の手続、親子関係不存在確認の手続、強制認知の手続によっても、実父の戸籍に入ることができます。
Q9. 離婚したら両親が亡くなっても相続しないのですか?
A9.
両親の離婚によっても親子関係はなくなりませんので、同居している親はもちろん、同居していない親についても相続します。
Q10. 離婚後、親権者が亡くなったら新しい親権者はどうなりますか?
A10.
離婚後、未成年の子の親権を行う人がいなくなった場合、もう一方の親や祖父母などが自動的に親権者になるわけではありません。この場合、もう一方の親が「親権者変更の申立て」を行うことにより新しい親権者になることもありますし、未成年者等が家庭裁判所に「未成年後見人選任の申立て」を行うことにより新しく親権を行う人が選任されることもあります。このほか、親権を行う人自身が遺言で未成年後見人を指定しておくことができます。